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読書の日々(伊吹雅也 『WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!!』) [読書]

 JRAの新馬券、WIN5の発売前に過去3年間の3連単のデータをその条件に基づき統計化し、的中馬券や払戻金などを完全シミュレーションした画期的な一冊。WIN5という馬券に関して説明することもないだろうが、特別レース5つの勝馬を全て予想し、インターネット投票で購入する馬券のこと。3場開催のこの時期だと大体14時50分頃に投票が締めきられるので、パドックを見たり、馬体重を確認することができない。競馬ファンからすると予想のファクターが削がれてしまうのは痛い所だがしかし、最高払戻金が2億円というアメを見せつけられると、蟻でなくてもフラフラとIPATで投票してしまうファンは多いのではないだろうか。
 3年分のデータを完全解析した結果、面白い傾向が見えてきたようである。例えば、対象となる5つ全てで単勝1番人気が勝った例は1度もないとか、またその逆で全てで6番人気以下のオッズの馬が勝ったこともないそうである。つまり、WIN5を的中させるには上位と下位の人気馬を選択しつつ、全体としては両者のオッズが分散するような単勝馬券の組み合わせでなければならないということだ。
 ただし、各レースで購入する点数には注意をしなければいけない、1レースあたり1点であれば100円ですむが、これが2・3点と増える毎に組み合わせ数も32点・243点と文字通り指数的に購入点数は増加していく。まぁ、払い戻しが10万を超えるのなら充分に元は取れるかもしれないが、流石にIPATの口座にはこたえる…、ということで本書では様々な点数削減方法を提示している。簡単な所では自分でつけた予想の印のうち連軸と5つのレースでの本命の勝利数を決め、その数より下の買い目をバッサリ切る。例えば、2頭×5Rながしでは、総点数は32点になるが、◎が3勝以上の買い目は16点となり、投資額も半分になる。これを本書では「伊吹式点数削減テクニック」と呼んでいる。
 さて、実際に行われた9週分の結果を見ると、最低の払戻金が29万円ほど、億を超えた払戻しは2回で、そのうち1番人気が絡んだのは1度だけ。2つとも最初のメイン(新潟競馬場)で単勝10番人気以上の馬が優勝したことで払い戻しがハネ上がる結果となった。今週の日曜最初のメインは多分、函館日刊スポーツ杯だろうが、出走馬の面子を見るとこりゃ難解。夢を見るには人気薄・内枠の先行馬を思い切って買えるかどうかに掛かっているような気がする。

WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!! 少点数で驚愕配当をモノにする絶対的セオリー (競馬王新書)

WIN5(五重勝)ほど儲かる馬券はない!! 少点数で驚愕配当をモノにする絶対的セオリー (競馬王新書)

  • 作者: 伊吹 雅也
  • 出版社/メーカー: 白夜書房
  • 発売日: 2011/04/01
  • メディア: 新書



タグ:伊吹雅也
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読書の日々(須田鷹雄 『POGの達人 2011~2012年』) [読書]

 今日は俺の参加しているPOGのドラフト日だ。POGというのはペーパーオーナーゲームの略で、新馬戦の始まる時期から、長くて翌年の有馬記念までの期間、自分の指名した競走馬の成績を競うゲームである。で、毎年この時期になると通称赤本と呼ばれる本書を買って、次はどの馬を指名しようと考えてドラフトを迎えるわけだ。若駒の写真と血統が記載され、生産者や厩舎別に選択することもできるので毎年重宝している一冊だ。
 今回の特集記事で注目したのは「2年目種牡馬について考える」。昨年度活躍したディープインパクト産駒は今年も活躍するのかどうか、という点については生産界の巨人、社台グループが昨年にも増して質の高い繁殖牝馬を用意しているそうで、対してハーツクライは「社台率」が下がっているそうである。
 昨年度、俺はPOGでの長引く不振を解消するため、POG名人であるゴールド・ケイという参謀を迎え、ダンスファンタジアという牝馬を指名。結果2位と言う好成績で終えることが出来てホクホクだった。だから今年もそのダンスファンタジアの弟をドライチで指名しようと考えている。血統的にもG1馬の母、G3馬の姉という良血である、そう、競馬は母系の競走成績が良いほどに「良い血統」、つまり馬自身の価格も競馬ファンの人気も高くなるものなのだ。この馬、サトノプレジデント号だけは何が何でも指名したい。
 個人的に注目しているのはヒヅグータス。ストラヴィンスキー産駒で無名ながら既にデビューに向けて準備が整っているし、何しろ萩本欽一が馬主というのが面白い。何でも「秀出る」「グッド」を足した馬になってほしいという欽ちゃんの願いが込められているそうだ。こういう開幕ダッシュを決められる馬を選ぶことも作戦の一つで、戦略を立てて嵌った時の楽しみもある。今年も1年間、POGを楽しみたいものである。
 

POGの達人 2011~2012年 (光文社ブックス 94)

POGの達人 2011~2012年 (光文社ブックス 94)

  • 作者: 須田鷹雄
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/05/14
  • メディア: 単行本



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読書の日々(スーザン・セリグソン 『巨乳はうらやましいか?』) [読書]

 Hカップのバストを持つ筆者が、乳房と乳房の強迫観念について突撃取材をした真面目なエッセイ。内容は女性の乳房の謎、ブラの歴史、豊胸・減胸手術、トップフリー、性転換など、乳房に関することなら様々な問題について扱っている。
 驚いたのが、現代のアメリカでは年間30万人もの女性がバストの美容整形手術を受けているという。
豊胸手術を行った医師は自分のキャリアを振り返って、「他の人を喜ばせるために彼女たちはやっているんですよ」と嘆いている。ま、男がバカなのはその通りで反省しなければいけないだろうが、医学的に必要のない女性が豊胸手術に踏みきるというのはちょっと異常かなと思います、です。
 興味深かったのが、なぜ、哺乳類のメスのなかで、ヒトの乳房だけが始終丸く大きくなったのか?という疑問について、本書は進化学の観点からエドワード・ミラー教授の仮説を紹介している。それは、栄養のある食料を多くとることで、授乳期間中以外、ヒトは生殖が可能になったからだという。栄養を多く取らせてくれるオスをメスは好み、生殖を行う。反対に生殖ばっかりして「ヤリ逃げ」をするようなオスが淘汰され、そして乳房に脂肪をためていることがオスにとって見せかけのシグナルとして次第に機能していったらしい。結果、栄養の行き届いたメス=乳房が始終張っているメスは子孫を増やすことができたそうだ、なる程。
 本書は全て文字だらけであり、ピンナップとかを期待している野郎には役に立たない(笑)代物だろう。youtubeにはその手の画像がたくさんあるだろうから、そっちをを見た方がいい。
で、タイトルにあるような、胸の大きさがうらやましいかということについては、規格外のサイズの下着を探す苦労とかま、Hカップもあると片方で1Kgもあり色々大変だが、筆者曰く。自分のあるがままのオッパイが大好きだそうである。

巨乳はうらやましいか?―Hカップ記者が見た現代おっぱい事情

巨乳はうらやましいか?―Hカップ記者が見た現代おっぱい事情

  • 作者: スーザン・セリグソン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/10/17
  • メディア: 単行本



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読書の日々(アーサー・C・クラーク 『海底牧場』) [読書]

 21世紀のオーストラリアのヘロン島を舞台に、ウォルター・フランクリンという世界連邦・牧鯨局の職員を主人公にしたアーサー・C・クラークの海洋SF。練習生~監視員~官僚時代の3部構成で大体20年くらいのお話になる。海洋SFとはいうものの、主人公は公務員であるため、その日常は冒険というより公務員としての仕事に従事している。描写されているのは、ウォルター・フランクリンといいう主人公の行動と内面の変化であり、話自体に引き込まれるようなグイグイとしたものはない。
 対して、良く描けていると俺が思うのは「牧鯨局」というガジェットである。この物語では、鯨が完全に人の手で管理されていて、超音波と電気の見えない柵により広大な「海の牧場」で生産される貴重な蛋白源として世界中の人間の食事を賄っている。そこでは、主人公のウォルターは牧場のカウボーイの如く、ホエールボーイとして勤務していて、あらゆる鯨がダイオウイカや鯱の群れなどから襲われるのを守る、という仕事をしている。地球上でもっとも大きい哺乳類は間違いなく鯨類なのであり、これがきちんと管理されれば食糧不足の問題も簡単に解決できるというのは合理的な考えである。
 翻って現代に話を戻せば、妥協点を見出すために作られた本来捕鯨国のためであったはずのIWCの協定は一部の鯨ファンによって極端に妨害されているという情けない現状である。大体ここまでデカイ生き物が管理できないのであれば、もっと小さい水産資源は管理できないわけであるので、科学的かつ客観的な考え方で鯨類を管理する方向に向かってほしいと俺は思う。
 さて、最終的に主人公のウォルターは、マハ・テーロという仏教家と出会い、鯨を食糧として管理するのではなく、鯨乳を搾乳し、鯨類の個体を保護すると言う立場に向かうことになる。テーロ曰く、人類が宇宙に出た場合には人類はより知的な宇宙人に出会うだろう。その際、人類が虫けらのように見られた場合にどのような運命が待っているのかと諭される。
やがて、その時が来たら、人間がより高等な生物から受ける待遇は、おそらく、人間が自分の世界の他の生物に対して、どのように振舞ってきたかによって定まるのかもしれません
これにビビッときたウォルターは改心してしまうんだよなー、フィクションだから何が起きても不思議ではないけれど。日本人の俺からすれば、森羅万象に畏敬の念を抱くのは、あくまでも「モノ」としての大切さを重要視していこうという島国ならではの考え方で、絶対者という西洋的な視点はシックリこないからだろう。
 物語自体はロマンスあり、サスペンスありの訓練生時代が一番面白く、流石にオーストラリアにヴァカンスにはいけないが、今年も海の潮臭さを満喫したいなぁと心から思ったのである。

海底牧場 (ハヤカワ文庫SF)

海底牧場 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: アーサー・C. クラーク
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫



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読書の日々(上野敏彦 『闘う純米酒――神亀ひこ孫物語』) [読書]

 「純米酒原理主義」の総本山として知られる神亀酒造を舞台に、7代目蔵元小川原良征を主人公とした造り酒屋のドキュメンタリーで、小川原蔵元と彼を知る人々のインタビューで構成されている。
 神亀酒造といえば全量純米蔵と長期熟成を特徴とし、味わい深い日本酒を醸すブランド酒蔵として有名だ。神亀の酒はなかなか一般に流通していないので店を探すのは本当に苦労するが、「神亀純米辛口」は何も考えずに購入してしまう。特にぬる燗にすると米の味が乗ってきて本当に美味いが、勿論それなりのお値段である。
 そんな神亀酒造が全量純米の造りに変えたのが1987年。20年に渡る酒造りは苦難の連続であり、それはまさに「闘う蔵元」という言葉が似つかわしい。
 まず、地元の税務署からは睨まれることになる。酒税は流通したときに課税されるシステムなので、熟成期間中の在庫を多く抱えることになる神亀のやり方は国税の側からみると税収が減ることになったからだ。当時は抜き打ちの検査が月に3~4回も行われたり、税務署への酒造りの申請書類を受け入れてもらえないなどの苦痛を受けつづけ、左目が見えなくなってしまったそうである。
 また真っ当な日本酒文化は稲作文化なくしては有り得ないという境地に辿り着いた小川原蔵元。蔵元は成田空港反対闘争に関わった農家を知り、その農家の作った米で酒を醸すようになり、田植えの時期には応援に駆けつけるそうである。
 この情熱と行動力は同じ志をもつ蔵元達やファンの力を集めることになり、全量純米蔵を目指す会を結成し、代表幹事に就任することになる。純米酒のファンドが一口5万円で、ちょっと俺の稼ぎでは躊躇ってしまうのだが、儲けとか度外視しても小川原蔵元を応援したくなる思う今日この頃である。

闘う純米酒 神亀ひこ孫物語

闘う純米酒 神亀ひこ孫物語

  • 作者: 上野 敏彦
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2006/12/14
  • メディア: 単行本



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読書の日々(諫山創 『進撃の巨人(2)』) [読書]

 日曜は、突然壊れた携帯電話を片手に地元駅前のドコモショップへ。修理受付で結構待たされたので、置いてあった『進撃の巨人』という漫画を読んでいた。
 中世ヨーロッパ風の世界で人類と人類を餌とする、外敵の「巨人」が闘うというSF!?ホラー?!戦争漫画。前にTVかラジオでオリエンタルラジオの眼鏡じゃない方が大分褒めていたのだが、ちょっと内容にガッカリ。要は全く斬新ではない、と言う印象だ。
 モチーフは人類と謎の天敵ということで、俺が大好きな岩明均の傑作『寄生獣』でもお馴染みのもの。設定(弱点とか人間を捕食するなど)も寄生獣から借りてきたような話であり、闘いに巻き込まれる少年少女という物語はガンダムやエヴァンゲリオンというアニメにありがちである。簡単に言うとかつてどこかで熱狂した話の焼き回しであり、独創性とか読んでいて引き込まれる「物語の力」みたいなものが完全に欠落しているように俺は感じたのだろう。絵が下手なのも足を引っ張っている。話自体は序盤なので今後に劇的に面白くなる可能性もあるが、個人的には読む気はしない。
 まぁ、漫画を心から楽しめるような年齢でもないのだが、これに限らず、他人が面白いと思うフィクションが全く楽しめない。なんだろう世の中からどんどんズレて、俺は益々ギャンブルに依存しそうなのである(笑)。

進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)

進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)

  • 作者: 諫山 創
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/07/16
  • メディア: コミック



タグ:進撃の巨人
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読書の日々(上原浩 『純米酒を極める』) [読書]

 日本酒の製法や蔵元・杜氏の逸話、美味しい日本酒やお勧めの居酒屋・酒販店までを紹介し、日本酒の蘊蓄が書かれた本。氏は2006年に既に鬼籍に入られたが、『夏子の酒』の登場人物・上田久のモデルであり、純米酒原理主義者の「教祖」として知られた人物であった。
 氏の見解を端的に言えば、「日本酒とは純米酒」という一言につきるだろう。それ以外はただ、酒税法上の「清酒」でしかないと断言しており、生酒は「製品以前の半製品」、アル添酒は「日本酒でない」そうで、舌鋒鋭くというか純米酒以外の清酒に対する批判は手厳しい。
 しかし、本を読み進めると、氏の過剰な純米酒への拘りの意図は理解できるだろう。それはカノン(正典)としての日本酒の存在とは何か?という哲学の問題である。正典としての日本酒が無くなった戦中・戦後の時代にはアルコールや糖類を添加した三増酒ばかりが蔓延ってしまったという苦い経験から、あえて毒を吐いたのだと思う。だから、アル添という技法そのものは必ずしも悪ではない、と言及もされている。
 勿論、氏の言説は情念だけに憑かれたものではなく、論理的かつ明解である。国税庁の鑑定官として勤務した経歴を持ち、酒造に関する科学的知識も豊富に持っていた。例えば『夏子の酒』では主人公に「波返し」という吟醸作りの秘技を伝授するシーンがあるが、これは蒸米という工程の際に団子にしたり崩して放置することを繰り返すことで温度を下げ、冴えた酒を作ることができるそうである。
 本書は純米オタクオンリーのものでは決してない。そもそも日本酒の初心者向けに新書として刊行されたもので、巻末には日本酒用語の解説もあり、入門書としても役立つ。
 最後に俺の日本酒の好みを言っておくと純米酒も吟醸酒もアル添酒も何でもOK。まぁ、美味い純米酒は作るのがとても難しく、希少でそこそこ値が張るからね。ちなみに東京の地酒で嘉泉というのは本醸造でも割とイケると思う。

純米酒を極める (知恵の森文庫)

純米酒を極める (知恵の森文庫)

  • 作者: 上原 浩
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/01/12
  • メディア: 文庫



タグ:嘉泉 上田久
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読書の日々(新潮社 『考える人 2005年秋号』) [読書]

 特集記事は「ドイツ人の賢い暮らし」。南ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州での取材を元に、ドイツ人のエコロジーライフを紹介している。原発をやめるという方向性を、G8の中でいち早く選択したドイツのことが最近注目されているので、今から約6年前の内容だが読み返してみた。
 環境首都として名高いフライブルク市。ヴォーバン地区には環境と共生する「エコ団地」がある。地区内には再生可能な有機物を利用して電気を作るバイオマス発電機を設置し、同時に発生した熱を地域のセントラルヒーティングとして利用しているコージェネレーションシステムを取り入れた最新設備を導入している。また、ソーラーパネルを配備している住宅もあり、計算上では全ての電力を再生可能エネルギーでまかなえるとのこと。記事とともに掲載されている写真で現地の暮らしを見ることができるが、家を取り囲むように木は生い茂り、木漏れ日は微妙で影が優しく、空は抜けるように青い。長閑で美しい風景は、エコに興味がない俺でも何だか凄いな、と感心してしまう。
 記事もエコ最高!というようなドイツ人の話が多い中で、在独ジャーナリストの熊谷徹氏のコラム、『ドイツ社会に見る「環境ロマン主義」』がひときわ印象に残る。直情径行なドイツ人気質は、チェルノブイリの放射能汚染などの環境汚染を経て、ひときわ執念深く環境保護に向かうようになった、という分析である。原発の段階的廃止を法律にしたり、化石燃料や電力の消費に税金がかけられ、再生可能エネルギーの振興を賄う費用になっている。ドイツの人々は高い電気代を支払うことで維持ができるエコに高い価値を見いだしているので、エコを疎かにすると政局になり、会社の株も下がるというのがドイツの事情のようである。熊谷氏は最後に、このコストが高くつく環境ロマン主義がどこまでもつのだろうかという疑問を呈して、文章を結んでいた。
 そんなロマンティックさが際立つが、ドイツの政治は理想と現実の折り合いをつけているように見える。2010年に再生可能エネルギーが発電の17%を占めるようになったようだが、未だに半分くらいは火力発電、2割くらいは原子力発電に頼っている。浜岡原発が停止という流れの中で日本のエネルギー政策の進むべき道を考えると、ドイツが実行してきたある種の妥協とか冷静さの中に進むべき方向性のヒントがあるのかもしれないと思った。
タグ:考える人
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読書の日々(梅尾良之 『新しい電池の科学』) [読書]

 電池の歴史から、仕組み、その種類など電池に関するありとあらゆる蘊蓄が書いてある本。作者は松下電池工業株式会社出身だそうで、電池について知らないことはないという点では当にうってつけである。
 携帯電話からノートパソコン、懐中電灯に使われる乾電池、自動車のバッテリー、果ては原子力発電所の非常用電源まで、電池なしでは日々の生活を満足に送ることもできない必須アイテムだ。
 そんな電池の種類は、仕組みや材料の違いで物理電池と化学電池、更に電気を供給する側とされる側で一次電池、二次電池と分かれるそう。携帯電話のバッテリーは化学電池で二次電池、再生可能エネルギーとして注目されている太陽電池は物理電池になる。普段身の回りで使っている、乾電池は、一次電池が多いのだろうが、なんとなく電気が中に貯めこまれている印象が強い。しかしそれは化学反応で電子の受け渡しが行われて電気が発生しているのである(当たり前か)。
 さて、震災後の計画停電があったせいで、家庭用の燃料電池が注目されているらしい。これは小学校の理科の実験であった、水の電気分解の逆反応を利用している。ガスを燃料改質装置で水素に変換し、酸素と反応させることで水を作り、電気を取り出している。化石エネルギーを変換して電気に変えるよりも効率が良く、自然環境への負荷も火力発電と比較しても良いとのことだが、コストの問題(補助金があっても家庭用で100万円単位)がネックだろう。また、停電になると電気で動作しているこの装置が動かないとのことで、流石に装置にバッテリーを使うとか太陽光発電や自己給電する仕組みで電源装置を冗長化してないと使い物にならないようなぁと思った次第。本当の意味で一般に普及するのはまだまだ先のようである。
 ちなみに乾電池とは、もともと電池の電解質という、電流を通す物質に液体が使われていたのを漏れないように工夫した=乾いているということで、呼ばれるようになったらしい(これも当たり前か)。

新しい電池の科学 (ブルーバックス)

新しい電池の科学 (ブルーバックス)

  • 作者: 梅尾 良之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09/21
  • メディア: 新書



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読書の日々(『手塚治虫「戦争漫画」傑作選』) [読書]

 漫画の神様、手塚治虫が発表した読み切り短編の中から、「戦争」をテーマとした作品を集めたアンソロジー。作品の殆どは1970年代ということもあって、時代の空気みたいなものを感じさせる暗く重苦しい内容である。
 中でも印象的なのが巻頭の『紙の砦』で、手塚自身を思わせる学生の軍需工場に動員されてから終戦までを描いた作品である。戦火が激しさを増す有る日、工場で知り合った密かに想いを寄せるタカラヅカの女子学生が、空襲で顔に大きな火傷を負う。復讐心に駆られて戦闘機から脱出した米兵を襲おうとするのだが、結局は思いとどまってしまう。
 手塚治虫といえばヒューマニズムの漫画家、と世間には認知されているのだろうが、それは本人も認めているように「オブラート」。青年誌や子供向け漫画も含めて、実際は人間のドロドロとした内面や現実の悲惨さをしつこく描いてきた作家である。取り分け手塚自身が戦中派であり、戦争の現実を目で見て体に感じてきたと言う事を考えれば、これらの作品群に作家の本音がもっとも出ていると言っていいいのではないだろうか。

手塚治虫「戦争漫画」傑作選 (祥伝社新書)

手塚治虫「戦争漫画」傑作選 (祥伝社新書)

  • 作者: 手塚 治虫
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 新書



タグ:手塚治虫
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