読書の日々(上原浩 『純米酒を極める』) [読書]
日本酒の製法や蔵元・杜氏の逸話、美味しい日本酒やお勧めの居酒屋・酒販店までを紹介し、日本酒の蘊蓄が書かれた本。氏は2006年に既に鬼籍に入られたが、『夏子の酒』の登場人物・上田久のモデルであり、純米酒原理主義者の「教祖」として知られた人物であった。
氏の見解を端的に言えば、「日本酒とは純米酒」という一言につきるだろう。それ以外はただ、酒税法上の「清酒」でしかないと断言しており、生酒は「製品以前の半製品」、アル添酒は「日本酒でない」そうで、舌鋒鋭くというか純米酒以外の清酒に対する批判は手厳しい。
しかし、本を読み進めると、氏の過剰な純米酒への拘りの意図は理解できるだろう。それはカノン(正典)としての日本酒の存在とは何か?という哲学の問題である。正典としての日本酒が無くなった戦中・戦後の時代にはアルコールや糖類を添加した三増酒ばかりが蔓延ってしまったという苦い経験から、あえて毒を吐いたのだと思う。だから、アル添という技法そのものは必ずしも悪ではない、と言及もされている。
勿論、氏の言説は情念だけに憑かれたものではなく、論理的かつ明解である。国税庁の鑑定官として勤務した経歴を持ち、酒造に関する科学的知識も豊富に持っていた。例えば『夏子の酒』では主人公に「波返し」という吟醸作りの秘技を伝授するシーンがあるが、これは蒸米という工程の際に団子にしたり崩して放置することを繰り返すことで温度を下げ、冴えた酒を作ることができるそうである。
本書は純米オタクオンリーのものでは決してない。そもそも日本酒の初心者向けに新書として刊行されたもので、巻末には日本酒用語の解説もあり、入門書としても役立つ。
最後に俺の日本酒の好みを言っておくと純米酒も吟醸酒もアル添酒も何でもOK。まぁ、美味い純米酒は作るのがとても難しく、希少でそこそこ値が張るからね。ちなみに東京の地酒で嘉泉というのは本醸造でも割とイケると思う。
氏の見解を端的に言えば、「日本酒とは純米酒」という一言につきるだろう。それ以外はただ、酒税法上の「清酒」でしかないと断言しており、生酒は「製品以前の半製品」、アル添酒は「日本酒でない」そうで、舌鋒鋭くというか純米酒以外の清酒に対する批判は手厳しい。
しかし、本を読み進めると、氏の過剰な純米酒への拘りの意図は理解できるだろう。それはカノン(正典)としての日本酒の存在とは何か?という哲学の問題である。正典としての日本酒が無くなった戦中・戦後の時代にはアルコールや糖類を添加した三増酒ばかりが蔓延ってしまったという苦い経験から、あえて毒を吐いたのだと思う。だから、アル添という技法そのものは必ずしも悪ではない、と言及もされている。
勿論、氏の言説は情念だけに憑かれたものではなく、論理的かつ明解である。国税庁の鑑定官として勤務した経歴を持ち、酒造に関する科学的知識も豊富に持っていた。例えば『夏子の酒』では主人公に「波返し」という吟醸作りの秘技を伝授するシーンがあるが、これは蒸米という工程の際に団子にしたり崩して放置することを繰り返すことで温度を下げ、冴えた酒を作ることができるそうである。
本書は純米オタクオンリーのものでは決してない。そもそも日本酒の初心者向けに新書として刊行されたもので、巻末には日本酒用語の解説もあり、入門書としても役立つ。
最後に俺の日本酒の好みを言っておくと純米酒も吟醸酒もアル添酒も何でもOK。まぁ、美味い純米酒は作るのがとても難しく、希少でそこそこ値が張るからね。ちなみに東京の地酒で嘉泉というのは本醸造でも割とイケると思う。
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