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キネマリオンNo.9 『こちらブルームーン探偵社』 [映画・DVD]

 『こちらブルームーン探偵社』は、ブルース・ウィリスとシビル・シェパードが主演の一話完結の探偵ドラマである。20年以上前にNHKの海外ドラマ枠みたいなものがあって、『シャーロック・ホームズの冒険』の後番組として放送されていたと記憶している。
 ブルースと言えば『ダイ・ハード』がハマリ過ぎて、アメリカのタフガイ、ハードボイルド野郎というイメージが強い。しかし、このドラマでは冴えない中年の探偵であり、兎に角よく喋る。当時は無名の役者だったブルースが飄々とした三枚目を演じていて、そのギャップを面白いと感じる人は多いだろう。
 一方、シビルは『タクシードライバー』のような印象が俺は強いが、ここでは元モデルの社長さんという役。洒落た服にほっそりとした脚、ブロンドに円な瞳が印象的。ちょっと世間ずれしていて気が強い、都会のイイ女というピッタリの配役だ。
 物語はシビル演じる社長と探偵ブルースが毎度持ち込まれる依頼を解決するというもの。その中でシビルとブルースの恋の駆け引きが加わったり、まるで漫才のような2人のセリフの長回しはメロドラマかコメディのようでもある。例えて言えば、シティハンターがドラマになったようなものだろうか、2人の調査と言う名の大騒ぎの中で、いつのまにか事件が解決、まぁ、とにかく最後はドタバタしていたと覚えている。
 物語が劇中劇のようになったり、急に視聴者に話しかけたりなどハチャメチャな展開も多かったが、今見ても本当に楽しめる。やはりドラマは配役が良いから面白いのではなく、物語と台詞がキモ。そして作り手の熱意が伝わってくるギミックも意外と重要だ。
 例えば、ブルームーンの関係者にインタビューした回顧録が特典映像として入っているが、白黒映像のために当時も既に希少だった白黒用の機材を捜し回って大変だったらしい。劇中に挿入される曲もジャズのスタンダードから流行のポップスまで幅広くセンスが良く、最終回ではレイ・チャールズ&ベティ・カーターの"We'll Be Together Again"がエンディングで流れるが、何と洒落がきいてる選曲だろう。最近はドラマをあまり見なくなったが、こういう「遊びのある」作品が無くなった所為かもしれない。
 20年前といえばもう昔のことになるが、80年代の綺羅びやかなアメリカを垣間見ることもでき、そういう意味でドラマも時代もいい頃だったなぁと懐かしい気持ちになった。

2011-05-21追記 評価は☆☆☆☆☆

ソフトシェル こちらブルームーン探偵社 シーズン1&2 セット1 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD



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キネマリオンNo.8 『The Rose』 [映画・DVD]

 昨日、久々にBette Midlerの"The Rose"を見た。Bette Midlerと言えば一流の歌手・女優としてよく知られているが、俺からすれば「女優も出来る凄い歌手」という認識である。
 彼女はアメリカを代表する素晴らしい歌手なのだが、未だ来日コンサートを行っていない最後の大物。だからBette Midlerファンの俺からすれば、"The Rose"や"For The Boys"は「聴く」ように訓練を積んでいて、映画ではなくてコンサートの映像であり音楽なのである。
 さて、映画の内容はあのJanis Joplinの破天荒な生涯をモチーフとしていることで有名だが、歌手としては二人は全く別物なので、Janisという先入観は無いほうが楽しめると思う。
 物語は歌手と現実の自分とのギャップに苦悩し、でも自分には歌だけしかないという、「芸能人」のダメっぷりみたいなものが延々と繰り返される。例えば、アルコールやハードドラッグに溺れるRoseからは当然のように人が逃げていくわけで、物語の終盤で"Where's everybody going?"と言って泣き崩れるRoseの姿が哀れで印象的だ。まぁ、"Crazy"な人には付き合ってられないのが普通の人だからしょうがないが、この辺は陳腐でありがちな展開かも。
 そして、Bette Midlerの歌唱力は改めて「凄い」の一言。ブルースやロック、ソウルミュージックを歌いこなし、情感あふれる歌声の表現力には脱帽するのみ。曲も素晴らしく、Percy Sledgeの"When A Man Loves A Woman"の迫力とエンドロールで流れる"The Rose"の切なさは心に染み入ってくるので必聴だろう。
 最後に、字幕英語・音声英語で見たほうがいいと俺は思う。なぜなら、このDVDはTV放送用に編集された映像に声優さんが日本語の台詞をあてているらしく吹き替えがツギハギだからで、日本語吹き替えのままだと雰囲気がブチ壊しだ。台詞は難解なものはなく、高校生程度のリスニング・リーディングで充分理解できる。
Bette MidlerのライブDVDとしての評価は☆☆☆☆☆ということで。


ローズ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD



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キネマリオンNo.7 『告白(映画)』 [映画・DVD]

 夏休み最後の日ぐらい普段とは違うことをしようと思い、地元の映画館に足を運んだ。何を見ようともあまり考えずに、「インセプション」「借りぐらしのアリエッティ」などポスターを睨め回し、松たか子主演の『告白』に決めた。第一には松たか子が好きだからであり、湊かなえ原作は未読だがタイトルが気に入ったからだ。僕にとっての告白とは三島の『仮面の告白』だったり、町田康の傑作であるから、それなりに筋もいいものだろうという判断だった。
 内容についてだが、子供を殺された女教師(松たか子)がその犯人の少年二人に復讐をするサスペンス映画。被害者・加害者の視点での語りが入れ替わるが、少年犯罪の被害者が復讐という観点では加害者にもなり、各々が「告白」するというスタイルでストーリーが進行していく。原作に忠実なら、『藪の中』や『駆け込み訴え』みたいな小説なのだろう。主役でありながら松たか子の出番は多くなく、その点では楽しみは少ない。
 僕が見ていて気になったのは小説的現実がフィクションであるにせよ、客観的事実とか科学的な誤謬をミスリードするような作りになってはいかんだろうということ。復讐をするためにHIVを牛乳に混ぜて犯人たちに飲ませるのだが、その程度でHIVに感染しないはずで、それは後に松たか子も映画の中で同じことを宣う。ここは重要なシーンであり、その後の犯人に起きるイジメや精神病とも関わるのでやはり納得がいかない。
 とまぁ、ここまで考えてみて、この手の情報の誤りとか思い違いみたいなものは思春期にありがちでもあり、それが人間の言動を狂わせたりするんだなぁと思いついたところでラストシーンが…。普通気づくでしょう、白ける話だなぁ。
 松たか子の久々の主演と木村佳乃の変わらぬ美しさにということで、評価は☆☆☆。
 
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キネマリオンNo.7 『スーパーナチュラル シーズン3』 [映画・DVD]

 1月末に足首に負った怪我の所為で、2月に入ってから2日間しか出社をしていない。足首の痛みに苛まれる以外に不自由はないので、この少しの休みの間はDVD視聴を楽しんだ。
 暇をつぶすのにうってつけなのは、一話完結の連作TVドラマだろう。レンタルショップに行って色々と思案し、結局『スーパーナチュラル シーズン3』を借りた。

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キネマリオンNo.6 『ボーンズ シーズン3』 [映画・DVD]

 1月末に足首に負った怪我の所為で、2月に入ってから2日間しか出社をしていない。足首の痛みに苛まれる以外に不自由はないので、この少しの休みの間はDVD視聴を楽しんだ。
 暇をつぶすのにうってつけなのは、一話完結の連作TVドラマだろう。ミステリィやサスペンスドラマが大好きな所為か、昨年末からFOXの連作ドラマの『BONES(ボーンズ)』に嵌っている。
 

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キネマリオンNo.5 『武士の一分』 [映画・DVD]

 巷では檀れい主演による最高傑作の誉れ高い、山田洋次監督作品の藤沢周平三部作完結編。
原作は剣豪短編集『隠し剣秋風抄』のうちの「盲目剣谺返し」。藤沢作品の中でもかなり地味な部類の物語だったと記憶している。
 俺の中での藤沢周平といえば、長編の最高傑作は『蝉しぐれ』。剣豪物は『秘太刀馬の骨』、短編は『雪明り』のような人情物と考えているので、物語としての質が若干劣ってしまう『武士の一分』を山田監督がどう再構築し、そして監督のそのラブコールに木村拓哉がどう演技で応えるのかに注目していた。
 予想はいい意味で裏切られたと思う。結局、この作品は檀れいの圧倒的な美しさと演技のパフォーマンスを最大限に発揮した『妻の一分』で、キムタクのアシストはTVドラマでも見せる愛想の悪さとキレッぷりだろう。(キムタクファンの人、御免なさい)。例えて言えば、十割そばに使う辛味大根のような存在だろうか、八つ当たりを受けている檀れいの伏目がちな眼差しの切なさには、涙腺も決壊寸前になる。
 その他にも敵役の坂東三津五郎、主人公の叔母の桃井かおり、中間の笹野高史などキャスティングも絢爛豪華。殺陣は『隠し剣鬼の爪』の方が迫力があったと思う。

武士の一分

武士の一分

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2007/06/01
  • メディア: DVD

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キネマリオン No.4 (精霊の守り人) [映画・DVD]

 攻殻機動隊SACの神山健治監督が満を持して送る、アジアンハイファンタジーの傑作TVアニメーション(だと思う)。
 ファンタジーという分野は、その物語の性質上の話型からして、ある種のお約束的な展開が進行していく嫌いがあるので個人的にはすぐに飽きてしまう。ただし神山監督のアニメは別物で、現実感を重視した緻密で丹念なプロット構築はSACがそうだったように今回も健在。原作にはないアニメならではの描写、例えば新ヨゴの水田風景やヨゴの繁華街での食事は、そのままに現代の日本の現実でありうる。ましてや、原作でも三十路を迎えんとしている、ヒロイン・バルサに共感を抱くファンは多いはずだな。
守り人シリーズのファンならずとも十分見ごたえがあり、今後のストーリー展開が待ち遠しい。

精霊の守り人 第1巻 (初回限定版)

精霊の守り人 第1巻 (初回限定版)

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2007/06/22
  • メディア: DVD

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キネマリオン No.3(八つ墓村) [映画・DVD]

 日日平安で読書さんが金田一レビューをしていたので、こちらは読書さんも言及していた野村芳太郎監督作品の『八つ墓村』を便乗レビューしてみる。
 金田一耕助を演じているのは「男はつらいよ」の渥美清だ。その出で立ちは麦藁帽子に手ぬぐいと、石坂浩二や古谷一行に慣れた人間は仰け反ること間違いなし。「フーテンの麦ワラ金田一」とでも言おうか。作中でも「あんた警察の人だったのか!?」みたいに突っ込まれる始末で、この金田一に事件の捜査依頼はちょっとしたくない(笑)。他にもキャスティングは当時の日本映画界を代表する役者ばかりの豪華さで、中野良子の着物姿と小川真由美の美しさは際立っている。
 内容は原作のモチーフを踏襲はしているけれど、殆ど別物と考えていいだろう。そもそも「八つ墓」が津山30人殺しをベースにしていて矢鱈に人が死ぬわけだが、日本刀と猟銃を持った山崎努扮する多治見要蔵が桜並木を走り回って村人を惨殺するシーンは残酷そのもの。俺の最初の「八つ墓」の記憶をたどると、多分小学生の頃に土曜の映画再放送番組かなにかのVTRで見たと思うが、山崎努と小川真由美のあまりの怖さに夢に魘された記憶がある。この「八つ墓」原体験の前には、原作のテクストも豊悦の映像も霞んでしまう。
 そして、八つ墓村の凄惨な殺人とは裏腹に映し出される山間の村の風景は掛け値無く美しい。岡山県でロケを撮ったそうだが、抜けるような青い空に深く濃い山の緑、ヒグラシやコオロギの虫の音、風鈴の音や蚊帳釣りの寝床など、日本の田舎の夏の原風景を忠実に封じ込めている。こういった夏の風物が人間の怨念や情念の怖さを増すように巧みに演出されていて、時代設定を現代(昭和)に置いたことで原作に無いリアルな感覚を抱くことができる。『砂の器』のスタッフが持てる力を結集した出来は流石で、ジャパニーズホラーの原点とも言うべき名作。金田一シリーズの中でも、これ以上のインパクトを持つ作品は無いと思う。
☆☆☆☆☆(満点は5☆)

八つ墓村

八つ墓村

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • 発売日: 2007/01/27
  • メディア: DVD


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キネマリオン No.2(The 有頂天ホテル) [映画・DVD]

暖かい秋が終わり、気がつくと2006年も既に12月。
クリスマスが過ぎると、2007年も右隣の扉に来ていそうで、
干支はえ~と何だっけ、と慌てふためきながら年賀状の
準備をしています。
そんな平日の休日に、このDVDを見ました。
三谷幸喜監督作品3作目で、去年のお正月に公開された、
とあるホテルの大晦日の長い一日を描いたコメディー。
年の瀬だっつーのに、些細なそして厄介なことって本当に
あるよな、って身をもって感じることがありますが、見事に
馬鹿馬鹿しい映画になっています。
主演は「ガイアの夜明け」の役所広司。
HRに出ていた香取慎吾や戸田恵子も出ているせいか、
シットコムっぽいアップテンポなノリも随所に感じられますね。
クリスマスを過ぎたらもう一度見たいなぁ、と思います。
☆☆☆☆(満点は5☆)

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション

THE 有頂天ホテル スペシャル・エディション

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2006/08/11
  • メディア: DVD


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