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読書の日々 (小泉武夫 『鯨は国を助く』) [読書]

 発酵・醸造学の権威、小泉武夫教授の鯨への熱い想いが書かれた一冊。日本の鯨食文化を擁護する立場から、捕鯨の歴史、鯨類の資源量、現行の捕鯨問題の内実、鯨肉の栄養まで当に鯨一色である。
 俺の意見からすれば、鯨肉はフランス料理でいうジビエみたいなもの。IWCで認められている枠内の調査捕鯨が継続可能であれば問題はないだろう。一方で、鯨類の希少種を維持する必要があるという考え方は理解できるから、鯨類という種の保存に関しては科学的・客観的に扱って欲しいということだ。
 ただ捕鯨問題は、政治やビジネスの思惑で左右されているという底の浅さがあり、アメリカやオーストラリアが畜肉生産国であることからも関連があるのは間違いがないと思われる。
 さて、興味深いのは第4章の192pから記述されている「反捕鯨国の国民は捕鯨に反対しているか」というところ。アメリカのCNNとイギリスのBBCが2002年にインターネットで世論調査をしたところ、それぞれ6割を超える国民が商業捕鯨の再導入に賛成しているという。シー・シェパードのような過激な人々は英米でもマイノリティのようである。
 鯨といえば給食の竜田揚げ。缶詰の大和煮。肉は赤身で牛や豚よりもサッパリとして美味しかったという記憶がある。小泉教授によると、鯨肉にはバレニンという成分が豊富に含まれており、疲労回復や持久力アップに効果があるという。そして、小泉教授がおすすめする、美味しい鯨の食べ方がまた食欲をそそる。曰く、教授が最後の晩餐に食べたい料理は鯨のペッパーステーキ丼。以下にレシピを書いた文章を217pより引用する。
 赤身を一センチぐらいの厚さでハガキ大に切って、フライパンに油をちょっと落として、まず片面をシャーっと焼く。大体三〇秒ほどすると焼き面が白くなるから、それをひっくり返してさらに三〇秒ほど焼く。そうすると、表面は白くなっているけれど、中はほぼレア状態。そこに思いっきり胡椒を多めに振りかけるのだ。胡椒もガリガリ引くような良い胡椒ではなく、安いテーブル胡椒のほうが美味い。
 その上から醤油をジャーッと加え、一〇秒くらい焼く。それを皿にとって、ナイフで切り分ける。別に丼に炊き立ての熱いご飯を七分目ぐらい入れておき、そこに出てきたタレごとペッパーステーキをドンとのっけて出来上がり。横に熱い番茶を置いて、食べはじめる。

インターネットで探してみると100gで500円が鯨肉の相場のようである。泡銭が手に入ったら鯨肉を食いまくろうかと思う今日この頃である。


鯨は国を助く

鯨は国を助く

  • 作者: 小泉 武夫
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/04/01
  • メディア: 単行本



タグ:小泉武夫
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